この記事では、ベイブレードバーストの「殿堂入り」の歴史について解説していきます。
ではいってみましょう。
殿堂入りとは
そもそも、殿堂入りとはなんなのか。
まずは殿堂入りに関して知っていきましょう。
「殿堂入り」とは、要するに「特定のパーツの、公式大会での使用を禁止する」ことです。
ベイブレードシリーズは、たまにすごく優秀なパーツが出てきたりします。ベイブレードはパーツを組み替えて改造できますが、改造の組み合わせ次第では、メーカーが想定していた以上の性能を発揮するものなどもあります。
優秀なパーツや強い組み合わせはそれだけ勝率が高いので、大会などで多くのユーザーが使用します。
その結果、大会参戦者の大半が同じパーツを使用するといったような状況が生まれるわけです。
まったく同じ改造同士での対戦などもよくあります。
メーカーのタカラトミーからすれば、せっかくいろいろな種類のベイブレードを販売しているわけなので、当然ユーザーにもいろいろなベイブレードを使って楽しんでもらいたいわけです。
そのため、ユーザーの選択の幅を狭めてしまうような優秀なパーツは、大会での使用を禁止するという措置を取り、それを「殿堂入り」と表現したわけなのです。
では次からは、そんな殿堂入りに選出されたパーツや禁止になった理由、主な改造を見ていきましょう。
デスサイザーレイヤー
主な改造:デスサイザー.H.D
バーストシリーズ最初の殿堂入りレイヤー。
2015年8月に発売された、最初期モデルのレイヤーです。
このデスサイザーはもともと、公式ではアタックタイプという扱いでした。
しかし、全体的に曲線的な形状をしていることから防御性能が高く、かつ、凹凸があまりなく空気抵抗が少ないため持久性能も高い性能になっていました。
そのため、アタックタイプながら持久・防御系の改造の適性が非常に高かったのです。
そこから、デスサイザーレイヤーをベースに、重量の高いヘビーディスク、安定性の高いディフェンスドライバーを組み合わせた改造、デスサイザー・ヘビー・ディフェンス、通称「DHD」という改造が流行りました。
DHDは猛威をふるい続け、翌年2016年にはアニメもスタートし、商品も第2期のデュアルレイヤーシリーズが展開されていたにもかかわらず、依然デスサイザーが大会上位に居座り続けるという事態に。
さすがに旧レイヤーがいつまでも環境トップでありつづけるのは、商品的にもゲーム性としても問題があると判断がされたのか、2016年の7月20日に殿堂入りの発表がされ、同年8月15日、ついに公式大会での使用が禁止となりました。
特定のパーツを全面禁止するというのはこれまでの全ベイブレードシリーズ含め異例なことで、非常に話題となりました。
おめーの席ねぇから!
ダークデスサイザーレイヤー
主な改造:ダークデスサイザー.G.O
先ほど紹介したばかりの、デスサイザーレイヤーの後継機「ダークデスサイザー」が殿堂入り。まさかの、デスサイザーシリーズのレイヤーが2機連続で使用禁止になる事態に。
ダークデスサイザーも、初代デスサイザーと同じくアタックタイプだったのですが、相変わらずの曲線形状で防御力や持久力が高い性能でした。
これに、重量の高いグラビティディスク、フリー回転ボール軸によって安定性と持久性が高いオービットドライバーを合わせた、ダークデスサイザー・グラビティ・オービット、通称「D2GO」という改造が流行りました。
2機連続で、アタックタイプとして活用されてないデスサイザー。
このダークデスサイザーも猛威を振るった結果、結局初代デスサイザーと同じように一強・独走状態となりました。
結果、2017年4月14日に公式ホームページにて殿堂入りの予告が発表され、同年6月24、25日のワールドホビーフェアおよび7月15日以降の公式大会で正式に禁止となりました。
ちなみにこのころはダークデスサイザーのほかに、初期レイヤーの「オーディン」を使用した、オーディン・ヘビー・リボルブという改造も流行っていましたが、オーディンレイヤーは殿堂入りをまぬがれたためしばらく主流として使われています。
2機連続で殿堂祭りとなったデスサイザーシリーズですが、2017年に発売された3代目「キラーデスサイザー」は特に殿堂入りはせず普通に使えます。
また、2020年に発売された4代目「ホロウデスサイザー」も、環境で使えるほどの強さはありましたが殿堂入りはしていません。
デスサイザー推しのブレーダーにも朗報。
マキシマムガルーダレイヤー(条件付き)
主な改造:マキシマムガルーダ.7M.O
大型のプロペラ形状が特徴のベイブレード。
円形による受け流しが非常に高性能なレイヤーとして、大会等でもよく使われるようになりました。
その際に一つ問題が起こりました。
そもそも、円形の形状はベイブレードとして強すぎるため、ガルーダは調整としてレイヤーのロックをすべてなくし、ロックが進みやすいという調整がとられていました。
しかし、半ば裏技のようなやり方で、ロックを固くすることができたのです。
ガルーダのころの「ゴッドレイヤーシリーズ」は、レイヤー中央のゴッドチップを取り外して、同シリーズの他のベイのゴッドチップと付け替えることができました。
本来ゴッドチップは、特に性能には影響せず、色やマークを変更できるというちょっとした着せ替えのような要素でした。
しかし、ゴッドチップは種類によって微妙に個体差があり、組み立てた時にドライバーと干渉して、ロックが固くなる組み合わせが存在していました。
これにより、ガルーダのゴッドチップを別のものに付け替えることで、ロックが進みにくくなる状態にすることができたのです。
そうなると、ただでさえ円形のガルーダがロックも硬くなり、あらゆる攻撃を無効化する受け流しが可能になってしまいました。
この仕様を重く見た運営側が、ガルーダのチップの付け替えを制限し、ガルーダ本来のゴッドチップ、あるいは別売りの「メタルゴッドチップ」以外の付け替えを禁止しました。
ガルーダは2017年7月15日に発売されましたが、この制限付き殿堂入りが発表されたのが8月8日。実際に禁止となったのが8月15日以降の大会なので、ちょうど発売1か月で制限がかけられたことになり、殿堂入りの発表自体は1か月たらずで行われたことになります。
これはバーストシリーズの殿堂入りの中でも最速となっています。
また、このガルーダが、最後の殿堂入りパーツとなりました。
以降は、2022年12月、シリーズ最後の商品「バリケードルシファー」まで、殿堂入りしたパーツはありません。
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まとめ
というわけで、殿堂入りとなったパーツの紹介でした。
バーストシリーズの初期は完全に1対1でのバトルだったため、強いとされる同じような改造同士でのバトルが頻発していました。
デスサイザーやダークデスサイザーが殿堂入りしたのも、デッキバトル導入より前や直前くらいのタイミングだったのが原因だったといえます。
しかしそれ以降は、デッキ制度も導入され、バトルに出す順番によって対戦の組み合わせがかわったりと戦略性も増したことから、ガルーダのような特殊パターンを除き殿堂入りがなくなったのだと考えられます。
ちなみに、公式サイトには「殿堂入りベイについては環境が整い次第、殿堂解除等、見直しをさせていただく予定になっております。」と記載されていましたが、結局バーストシリーズ終了まで殿堂入りしたパーツが帰ってくることはありませんでした。
最後まで環境が整わなかっただけだから・・・(震え声)。
なので、結局今回紹介したレイヤーたちは公式大会で使えることはありませんが、フリーバトルで使ってみたり、最新パーツでさらに強化してみるのも楽しいでしょう。
パーツは一つ一つ形が違うので性能に差が出るのは仕方ないことですが、できるだけたくさんのパーツを使っていきたいですね。
番外編
番外編として、殿堂入りはしていないものの、明らかに強かったパーツをいくつか紹介していきます。
オーディンレイヤー
主な改造:オーディン.H.R
ベイブレードバースト初期のころの環境レイヤーのひとつ。
記事内で紹介したデスサイザー系2種と双璧をなす、アタックタイプながら持久性能の高い安定したレイヤーとして使われていました。
ヘビーディスクやリボルブドライバーと組み合わせた持久改造が定番で、大会でもデスサイザー系に次ぐ使用率といわれています。
2015年の商品ながら、2017年ごろにもまだ使われるほどの性能を持っていました。
デスサイザーが2種立て続けに殿堂入りする中、このオーディンは殿堂入りをまぬがれています。
スプリガン系レイヤー(レクイエム以降)
主な改造:送り合い
スプリガンシリーズは、3代目「レジェンドスプリガン」以降、すべて左右両回転に対応するようになりました。
特に、4代目「スプリガンレクイエム」からは、円形、ラバー、バーストストッパーなど、両回転に加えて何かしら追加で強みがあり、シンプルにレイヤーとして強いのが基本となっています。
そして、スプリガンの強さを決定づけたのが「送り合い」です。
送り合いは、回転方向の違うベイ同士が戦った際、互いに回転を吸収しあう性質を利用し、最後の粘りに特化した改造にすることで、相手より長く回って持久勝ちをねらう戦略のことです。
送り合いに特化した構築にすれば安定して勝てたり、ドローで再戦に持ち込めたりするので、ベイブレードバーストシリーズでも主流の先方になっています。
この送り合いを発生させるには、相手とは逆の回転のベイを対戦させる必要がありますが、スプリガン系は両回転に対応しており、大会でもバトルごとに回転方向を切り替えることができるため、相手のベイと逆の回転にセッティングすれば確実に送り合いに持ち込める能力を持っていました。
これにより、スプリガンレクイエム以降のスプリガンは大会でも必須パーツとなっており、ほぼすべての参加者がスプリガンを持ち込むといった状況が定番となりました。
送り合いはしっかりと改造を練ればかなり安定して勝てる戦法なのですが、ひたすら回転吸収しあう長期戦になるため、決着に時間もかかり、ひたすらチリチリと削りあうだけなので見ていて盛り上がりにくく、本当にとにかく勝つためだけの戦法、といった感じです。ドローだった際には再戦でさらに時間がかかるため、結構根気がいります。
ほんのわずかな回転の差で勝敗がわかれたりするので、勝敗ジャッジする審判泣かせの戦略ともいわれます。
大会でのスプリガンはそういった、勝てはするけど盛り上がりにくいし、全員が似たような改造で使うパーツとなっていました。
そのため実質の必須パーツなら殿堂入りさせても良いのでは?といった声もありましたが、結局どれも特に制限を受けることなく、シリーズ最後まで使用することが可能でした。
ちなみに、大会では3つのベイ(2020年からは5つ)でデッキを組んで順番に戦わせるルールが採用されていますが、デッキの中に入れられる両回転ベイは1つまでになっています。
ベアリングドライバー
主な改造:送り合い改造全般
フリー回転する軸に、精密部品「ベアリング」を搭載することで、滑らかに回ることができる持久系ドライバー。
軸幅が広いためベイの回転が弱まっても倒れにくく、かつベアリングのフリー回転よって、最後の粘りに強い性能が送り合いに適しており、先ほどのスプリガンレクイエムと合わせて使われるのが定番でした。
高性能ベアリングを搭載と引き換えにバネが弱く、レイヤーのロックがゆるくなる仕様になっているデメリットのみ弱点といえるでしょう。
しかし、先ほど紹介したスプリガンにはバーストロックのギミックを持つものもあったため、それと合わせると、ベアリングのバーストしやすいデメリットを解消して使えるので、そういったスプリガン系と合わせることが主流となっていました。
2021年には、バネを固くしてさらに強化したベアリングダッシュも登場。こちらもデッキ入り候補の高性能パーツになっています。
ドリフトドライバー系
主な改造:送り合い系
バーストシリーズ後半の環境トップを走り続けたパーツ。
幅の広い軸と背の低さによってベイを支える力が高く、ベイ本体を倒さずに静止させることができます。さらに軸はフリー回転します。
つまりどういうことかというと、送り合いにめちゃくちゃ強いです。
ドリフトドライバーは本体が倒れず軸がフリー回転するため、最後まで相手の回転を吸収することができます。
送り合いは相手とわずかな回転の差を競うことが多いため、体勢を崩さずに最後まで立ったまま回れるドリフトは、非常に適性が高いのです。
運用方法はベアリングドライバーと同じような感じですが、ベアリングドライバーよりベイ本体が倒れにくいのが強力で、デッキにほぼ必須といえるパーツ。
送り合いに使うのがメインですが、固体次第では同回転相手にも強いものもあるようです。
という感じで環境トップの強いドライバーなのですが、なぜかタカラトミーさんが開き直ったように亜種を乱発。通常のドリフトドライバーのほかに、メタルドリフト、ベアリングドリフト、メタルベアリングドリフトとドリフト系列のパーツを出しまくり、通常のものと合わせて、合計4種類も登場しています。
しかも、そのすべてが別パーツとして扱われます。ベイブレードはデッキを組む際にそれぞれのベイに使うパーツに同じものを使用してはいけないルールがありますが、これらのドリフトシリーズはすべて別パーツ扱いなので、デッキのベイ5種のうち、4種をドリフト系で埋めることもできたりします。
個人主催の非公式大会などでは、ドリフト系の使用を禁止するルールもあるようです。
こういった環境パーツをやぶれるような改造を自分で探してみるのも面白いので、ぜひ挑戦してみましょう。